『偽典セクサリス』少女病
店頭で聞いて5秒以内に吹いたので、買って来た。知る限り最初のSoundHorizonのダイレクトなフォロワ。やっと出て来たかという感じですね。もっと早く出そうなものなのに。
内容は、Romanの構成にElysionくらいの複雑さの曲を押し込めて、クロセカを少し混ぜてみた感じ。
語りがあらまりの声とそっくりに聞こえる。抑えた語り口なので、仮に本人でしたといわれてもまあそんなもんかくらいに似てる。
以下メモ。
- Elysionくらいの複雑さに留めておいたのは多分正解。
- これを聞くと逆説的にあらまりの偉大さがわかる。恐らくこの手の音楽は普通の歌以上にカツゼツのよさみたいなものが必要になる。このセクサリスにもそれは足りていない。あらまりがいなくなったときにSoundHorizonが複雑化していく以外の道を取れなかった筋が垣間見える。
- カツゼツと絡んで、歌詞を作るのもかなり難しいようだ。聞きやすい歌詞と声を提供できないとなれば、最初から異国語のブラフに置き換えてごまかすしかないというのもわからなくはない。それにしたってSoundHorizonの最近の濫用ぷりはセンスが無い気がするが。
- こちらは未だいわゆる同人の域を出るレベルには達していないものの、本家であるSoundHorizonがあまり正しくない道へ踏み込んでいるように見える現状では、今後を応援してみたいところ。
- 物語音楽は情報量的な制約上、ミニマルプレーン、ミクロプレーンな物語の方が圧倒的に有利で、マクロプレーンな物語を志向するのはかなり無理があることがわかる。結果として情報量の少なさを補うために断片化して複雑になるしかない。一方でマクロプレーンに踏み出さないとなかなか容易な大ヒットには結びつかないというジレンマがあり、技術的限界との戦いになっているぽい。
- SoundHorizon以前からある物語音楽のノウハウがあまり活かされていないように見えるのはちょっと残念。これはSoundHorizonにもセクサリスにも言える。
- ファーストインプレッションでは『終わりの先の音節』『鳥篭から紡ぐ終焉』がよさげ。